[Neural mechanisms of jaw and tongue movements induced by afferent impulses from masticatory muscles].

われわれヒトを含めて哺乳類の身体は,皮 膚 に よって外部環境から隔てられた 個体 を形成 してお り,皮 膚にある外受容器 と眼,耳,鼻 にある遠隔 受容器によって外部環境の変化 を刺激 として受容 し,そ れに対する反応 として行動 を起す。この行 動は骨格筋の収縮によって実現 されるもので,外 部環境に対する個体 としての反応は,身 体内部の 筋,腱,迷 路にある固有受容器に対する刺激 とな り,こ れ らの受容器から身体の運動 と位置に関す る情報が中枢に送 られる(Sherrington1947)91)。 筋紡錘および腱紡錘は筋 と腱に存在する代表的な 固有受容器であり,こ れ らからの情報によって, 運動の円滑な遂行が反射性に制御 されていること が,多 数の研究者によって 明らかに されて いる (Matthews196463),Granit197027),Matthews 197264))。咀嚼運動その他の顎運動に関する咀嚼筋 の 固有受容性インパルスの役割については,窪 田 (1969)54)やKawamura(1963,1972)44)45)の 綜説に おいても触れ られているが,こ こでは咀嚼筋から の求心性 インパルスによる顎および舌運動反射の 脳幹 ニューロン機構に焦点を合せて,最 近の進歩 を展 望 して み た い 。 固 有 受 容 性 イ ンパ ル ス の うち で,顎 関 節 お よび 前 庭 迷 路 か らの も の につ い は, Kawamura(1972)45)お よび 船 越(1972)22)の 論 文 を